このたび2023年(令和5年)5月13日(土)、14日(日)の2日間、別府市国際コンベンションセンターを会場として第88回日本温泉気候物理医学会を主催させていただくことになりました。歴史のあるこの学会をお世話させていただけることをたいへん光栄に存じます。
2020年12月に中国武漢で最初に報告された新型コロナウイルス感染症は、またたく間に全世界に広がり、いまだ完全には収束に至っておりません。世界は今なおWithコロナの状況でありますが、同時にAfterコロナへの対応も視野に入れるべき時期が来ていると思います。このような状況をふまえて今回の学術集会のテーマは「Withコロナ・Afterコロナ時代の温泉と医療」といたしました。
会長講演は「Withコロナ・Afterコロナ時代のリウマチ診療」と致しました。関節リウマチ(Rheumatoid arthritis: RA)はつい30年前までは難治性疾患の代表でした。有効な薬物療法がないため、温泉療法、リハビリ療法もさかんに試みられました。しかし2000年代になって、多くの画期的な薬剤の登場によってリウマチ診療は目を見張る進歩をとげました。その一方で、治療に難渋するRA患者さん(Difficult-to-treat RA:D2T RA)も少なくないため、その対策が模索されています。従来の温泉療法、リハビリ療法による非薬物療法が、D2T RA患者さんの治療選択肢として再評価されつつあります。Withコロナ時代のいま、あるべきリウマチ診療をリウマチ治療の歴史を紐解きながら論じてみたいと思います。
「特別講演」は、長野恭紘別府市長、舘田一博東邦大学教授・前日本感染症学会理事長、三森功士九州大学別府病院教授のお三方にお願いしております。いずれも今回の学会のテーマにふさわしいお話を拝聴できると思います。「招待講演」は由佐悠紀京都大学名誉教授、馬奈木俊介九州大学主幹教授のお二方に温泉、医療に関わるご講演をお願いしております。「教育講演」は前田眞治国際医療福祉大学大学院教授、松田貴雄国立病院機構西別府病院スポーツ医学センター長に温泉とエビデンス、温泉とスポーツ医学についてご講演いただきます。また「シンポジウム」は3つ(シンポジウム1.温泉による健康増進、シンポジウム2.神経疾患に対する鍼灸治療の効果とその作用機序、シンポジウム3.慢性疼痛の集学的治療)を予定しており、様々な視点から温泉と医療についてご講演をいただきます。シンポジウム2は、(公社)全日本鍼灸学会との共催となっております。「一般演題」も46題と多数のご応募いただきました。誠に有難うございます。
別府市で本学会の学術集会が開催されるのは、牧野直樹九州大学名誉教授(前日本温泉気候物理医学会理事長、現温泉療法医会会長)が主催されて以来の10年ぶりになります。
湯けむりたなびく日本有数の温泉地、別府の温泉と食を楽しんでいただきながら、学会場ではホットなディスカッションを交わしていただければ嬉しく存じます。できるだけ多くの皆様方が別府に足をお運びいただくことを心よりお待ち申し上げております。